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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

いのちと生活を守る闘いを
09年も大きく前進させよう
「解放新聞」(2009.01.12-2402)

 昨年は、世界的な金融危機の影響で、わが国でも工場閉鎖や操業休止とともに非正規労働者の大量リストラや新卒者の内定取り消し、中小企業の倒産などが続き、雇用対策、景気対策を求める声が高まった。
  とくに、この金融危機は、国際的な批判を受けながら、イラク戦争を強行したものの、その後の戦争の泥沼化とサブプライム問題を起こした米国の求心力の低下を象徴するものであった。このことが米国自身の軍事的、経済的な世界戦略の誤りを明確にし、共和党候補に大勝した、黒人初のオバマ大統領を登場させたといえる。
  一方、この米国に追従してきた日本では、小泉政権がすすめた弱者切り捨ての「構造改革」路線のもとで格差社会がすすみ、ネットカフェ難民など、働く者、働きたい者の貧困化が大きな社会問題にもなっている。しかも、政府は、雇用対策、景気対策に有効な施策を打ち出せないばかりか、偽装問題などによる食や住居の安全をないがしろにしたまま、後期高齢者医療制度の導入や年金問題の放置、消費税の引き上げなど、私たちのいのちや生活が脅かされる深刻な事態におちいっている。

 こうした社会の不安や不満が、防衛省の田母神前空幕長の論文でも明らかになった国権主義や反人権主義と結びつき、悪質な差別事件の背景となっている。インターネットでの差別書き込みや、戸籍や住民票の不正取得による身元調査など、部落差別はもとより、在日朝鮮・韓国人や障害者への差別事件、女性や子ども、高齢者への虐待など、多くの差別事件や人権侵害が起きている。
  この間、私たちは、差別糾弾闘争にしっかりととりくみ、差別の実態を広範に訴えるとともに、このような差別事件や人権侵害への救済が急務の課題であるとして「人権侵害救済法」の早期制定を求めてきた。差別を社会悪として禁止し、人権の法制度の確立に向けたとりくみを、いまこそ強めていかなければならない。
  さらに、部落差別によるえん罪である狭山事件の再審、石川一雄さんの無罪をかちとるために、何としても狭山第3次再審闘争の勝利に向けて全力をあげていこう。昨年、石川一雄さんは、国連・自由権規約委員会による日本政府報告書の審査にあたって、ジュネーブを訪れ、委員との意見交換でみずからの無実を訴えることができた。私たちは、狭山闘争の勝利のために何が必要かを真剣に論議し、弁護団や共闘団体、全国の住民の会などとともに十分に連携を図りながらとりくみをすすめていきたい。

 私たちは、国権主義、反人権主義が横行する政治状況を変えていくためにも、まずは本年の衆議院選挙での松本龍・副委員長の7選に向けたとりくみを全力ですすめなければならない。部落解放・人権政策の確立をめざす闘いと、衆議院選挙での政治参加、政治変革の課題をしっかりと結合させて、政権交代をかちとろう。
  また、昨年とりくんできた部落解放運動「再生・改革」全国行動での意見交換を通じて明らかにされた課題や問題点を整理し、これからの部落解放運動のありようをあらためて真剣に論議していくことが求められている。
  都府県連、支部、地域での論議を深めながら、3月の全国大会では、「部落解放同盟行動指針案」や規約改正についても提案し、組織内外に、再生・改革の決意を示したい。
  全国の兄弟姉妹のがんばりと、ともに協働・連帯をしていただいている多くの皆さんの支援で、09年を部落差別を許さず、いのちと生活を守る部落解放運動の闘いを大きく前進させていく年にしていこう。

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