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部落問題資料室
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主張

 

第54回全国女性集会の成功へ
各地で実践を積みあげよう
「解放新聞」(2009.04.06-2413)

 昨年の世界的金融危機の影響で、日本でも工場閉鎖や非正規労働者の大量リストラ、新卒者の内定取り消し、中小企業の倒産など、私たちの生活はますます厳しくなっている。また、小泉政権以降の弱者切り捨ての「構造改革」で、格差社会の問題は深刻化し、雇用、社会保障や医療制度の改悪など、いのちや生活が脅かされる社会への不安が増大している。最近では、「人を殺してみたかった」「誰でもよかった」と無差別に人を殺したり、襲ったり、家族間での殺人事件が毎日のように起こっている。
  世界でも、イラク戟争をはじめイスラエルのガザ地区への侵攻、民族対立や宗教紛争が続き、女性や子どもが犠牲となり平和と人権が脅かされている。
  戦争や凶悪な事件は、尊いいのちを犠牲にし、一瞬にしてその人の生きる権利を奪う。
  一つしかないいのちを、大切にしなければならない。そうした社会のありようを考え、人と人の関係を結び直す運動が求められている。本年、5月16、17日の二日間、群馬県前橋l市で部落解放第54回全国女性集会(群馬全女)を800人規模で開催する。群馬県連は、女性部を中心に共闘関係者などの協力で、集会成功に向けたとりくみをすすめている。反貧困、反差別の闘いを強め、人権と平和の確立、男女平等社会の実現に向けて、全国の女性部の力で第54回全国女性集会を瓜身させよう。
  この間の女性部のとりくみとして、鳥取全女でおこなった部落女性のアンケート調査をきっかけに、愛知、埼玉、大阪をはじめ、各都府県連で創意工夫されたアンケート調査がすすめられている。こうしたアンケート調査結果を活用し、国や自治体に部落女性をはじめマイノリティ女性にたいする施策を推進し具体化していくための体制づくりを求めていく必要がある。
  また、部落女性、アイヌ女性、在日コリアン女性の3者は07年、08年とアンケート調査をふまえた提言にかかわる関係省庁との交渉をおこない、それぞれの実態を訴えるとともに、マイノリティ女性にたいする施策の充実と政府による実態調査を要求してきたが、政府の対応は依然として変わらない。今後とも、ねぼり強く働きかけを強化しなければならない。

 今日、部落解放運動は、かつてない厳しい状況にあり、課題は山積している。昨年は、「再生・改革」全国行動をとおして、運動と組織の現状と課題を共有しながら、部落解放運動の再生に向けた自力自闘のとりくみをすすめてきた。私たちは、いまこそ、「水平社宣言」の精神と人間解放をめざした運動の原点に立ち返り、女性の力を結集し、とりくみをすすめなければならない。
  とくに、女性をとりまく状況として、近年、男性と同じように働き、結婚後も子育てと両立させながら働く女性が増えてきた。しかし、07年に内閣府が実施した「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきであるか」の問いに、「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)44.8%で、3年前に実施した同調査の「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)と比較するとわずか0.4%減少しているだけで、依然として性別役割分業意識が根強く残っていることがわかる。日本社会が性別役割分業意識にとらわれずに、ともに助けあい仕事と家庭のバランスをとりながら子育てをすることは子どもにとっても大切である。
  また、DVをはじめ、ストーカー事件、セクシャルハラスメントなど、警察庁調べによると検挙数や事案件数の90%以上は女性が被害者となっている。
  私たちは、こうした実態を考えていくためにも、格差のない社会、相手を思いやれる社会、性別にとらわれることなく、ともに個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向けたとりくみを強化していこう。また、組織内でも、「男女平等参画基本方針(改訂版)」の組織内目標を中央本部・都府県連・支部で具体的にとりくみをすすめていくことも重要な課題だ。

 第54回全国女性集会では、部落解放・人権政策確立の闘い、狭山再審闘争や差別糾弾闘争の強化、男女平等社会の実現、自立自闘に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大、松本龍副委員長の7選と政権交代をめざす総選挙の闘いなど、地域でのとりくみの実践交流と論議を深め、活発な意見を出しあい、成功をかちとろう。とくに、私たち女性部の活動が部落解放運動の闘いを大きく前進させる牽引力となるよう、各級機関の論議に参加できるみずからの力量をしっかりと身につけることが求められている。部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃をめざし、男女平等社会の確立、人権社会の実現に向け、すべての女性たちとの連帯・協働のとりくみを強化しながら全力で闘いを展開しよう。


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