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部落問題資料室
NEWS & 主張
綾部市が本人告知、京都で初
戸籍附票の不正取得に

「解放新聞」(2009.04.27-2416)

 【京都支局】戸籍謄本等の不正取得で、綾部市が不正に戸籍附票を取得された被害者に「その旨」を3月23日に告知した。府内では初めての被害者へ告知。
  不正に取得された戸籍附票は、06年8月に三重県のT行政書士(当時)が横浜市の興信所の依頼を受けて不正請求していたもので、注文書から判断すると結婚調査の可能性が高い。綾部市には2度、T行政書士から請求があり、8月7日の住民票謄本の請求は不交付、8月14日の戸籍附票の請求は交付されていた。
  本人告知は、この戸籍附票についておこなったもので、対象が1件であったこともあり、市が被害者宅を訪問して事実を伝えた。
  本人告知に向けての動きは、府が市町村によびかけて3か月に1回程度、「住民基本台帳事務に係る市町村連絡調整会議」がひらかれ、これをうけて府市長会や城南戸籍住民登録事務協議会などで協議が重ねられてきた。市町村の個人情報保護条例や情報公開条例には審議会の有無などの差異があり、手続き面で同言はいかないため、個個の市町村内部でも検討が重ねられていた。
  神戸のK司法書士(当時)が戸籍謄本などを不正取得した事件で、懲戒処分、司法処分が確定。神戸簡裁がK元司法書士への過料決定通知書を請求した市町村に提供。そうしたなか、京都府市長会が本人告知にふみ切ることを決定し、3月19日に「戸籍謄本等の写し等の不正取得に係る被取得者に対する対応について」(別項)と題した文書を各市長に出した。そして、市長会長をつとめる綾部市長の決断で、綾部市が被害者宅を訪問しての告知となった。
  不正取得された市町民は、みずから情報の開示請求をしないかぎり、被害にあったこと自体を知ることができない。しかも時間がたてばたつほど、被害の回復は困難になる。綾部市に続き、不正取得されたすべての市町が、被害者に早期に告知することが望まれている」と府連は訴えている。

 *戸籍附票とは、住民基本台帳に記載された過去の住所の一覧を掲載したもので、住所の移動(転居)状況がわかる。

戸籍謄本の写し等に不正取得に係る
被取得者に対する対応について(申し合わせ)
 以下について、京都府市長会加盟各市は申し合わせを行う。
1 基本認識
  戸籍謄本の写し等の不正取得は身元調査など基本的人権の侵害に繋がるものであり、断じて許されるものではない。
2 基本対応
  (1) 戸籍謄本の写し等の不正に取得された被取得者に対し、被取得者の権利・利益を保護するとともに、人権擁護、住民票の適正な管理及び個人情報保護の観点から、告知を行い、不正取得者に対しては強く抗議を行うものとする。
  (2) 不正取得を防止するため、戸籍・住民票の適正な管理について、不正取得が行われた状況等を十分調査し、交付手続きについて更に万全を期するものとする。
3 実施について
  (1) 被取得者に対する告知及び不正取得者に対する抗議については、各市の個人情報保護条例や住民基本台帳法の趣旨を踏まえ、各市において要綱等を整備し、実施するものとする。
  (2) 要綱整備に当たっては、京都府の示された「住民票の写し等の不正取得に係る被取得者に対する告知について(検討試案)」を基本にするものとする。
4 今後の対応
  (1) 被取得者に対する告知の法制化や不正取得防止のため戸籍法・住民基本台帳法等の改正を国に対して要望する。
  (2) 不正取得等の情報を把握するため、京都府に対し引き続き「市町村連絡調整会議」を開催し、情報の提供や相談体制の整備を要望する。
  (3) 8業界に対し、既に要望を行っているが、今後とも引き続き不正取得を行わないよう要望を行う。

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