pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
部落忌避認める
土地差別調査事件の2社
ディベロッパーへの糾弾会で

「解放新聞」(2010.12.06-2497)

 一連の土地差別調査事件で11月24日午後、大阪市内の法円坂アネックスパルでマンション開発業者、ディベロッパーのF社とG社にたいする糾弾会をひらいた。両社は当初、差別記載のある「市場調査報告書」の問題点を指摘できず、そのまま受け取ってきたことが差別意識を助長した、とした認識だった。これにたいし糾弾会では、「調査の主眼はマーケットの販売実績と動向という事業性の重視であり部落差別はしていなかった」とする両社の姿勢を糾し、▽フリーハンドで調査依頼することにより、部落への差別調査などが「業界の常識」として常態化し、いまだに横行している事実▽「販売実績や動向」には部落など忌避される地域の存在が反映されていること▽報告書にもられた表現から、部落だと認識し、そこを忌避する市民意識があるからこそ、マンション用の土地の購入や建設が避けられていること、などを指摘。最終的に両社は、そうした事実関係を認めた。
  両社にたいしては、今回の糾弾会をふまえ、①今後の再発防止策②事件の当事者として業界の体質を含めた反省文を③今後、部落のまちづくりを積極的にどういうかたちで関与できるのか、参加できるのかを、企業の社会貢献として検討してほしい、と求めた。
  ディベロッパーのF社とG社への糾弾会には、両社の親会社、広告代理店、調査会社のほかに、不動産業界団体や行政関係者も出席、部落解放同盟からは組坂委員長、大野、岸田両副委員長、辻本、田川、赤井の各中執、各府県連の代表など100人が参加した。

部落忌避も「事業性」
土地差別調査事件
販売事業に大きく影響
  糾弾会では、事実関係と経過を赤井中執が聞くなかで、両社が広告代理店に調査を依頼したのは、「情報の量と精度・対応の早さ。価格分析力がすぐれている」から。しかし、調査の仕様書はなく、フリーハンドで調査依頼され、部落が存在するかどうかも宅建業者からの情報などをもとに「事実として記載」「部落があるかどうかを知りたいだろう」「知っておけばいい認識のひとつ」ということから記載する。それも直接的表現は避けて、「地域下位地域」など、それとわかるように書き、広告代理店もそれとわかりつつ、ディベロッパーに報告書として提出する、という構図があらためて浮かびあがった。
  出席した調査会社からは、「販売事業が、親の反対でキャンセル続出し失敗した」と部落が周辺にあることが原因とわかるように報告書をあげたことも示され、「事業性の重視」に部落など市民感覚として忌避されるものの存在が大きく影響している事実が明らかにされた。
  開会あいさつで中央本部を代表して組坂委員長は、ディベロッパー、広告代理店、調査会社という3者による差別事件はいままでなかったこと、大きな業界団体の差別事件だと、この事件を重視する姿勢を強調。糾弾会が差別をなくす場になることを、とよぴかけた。また、F社、G社を代表してF社の社長があいさつをした。糾弾会の集約を大野副委員長がおこない、解決へ一歩ずつ前進を、反省文に期待したい、とのべた。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)