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部落問題資料室
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真相究明求め「土地差別調査事件」糾弾闘争を

「解放新聞」(2011.01.17-2502)

 貧困や格差問題の解決、徹底的に破壊された生活、雇用、福祉政策を立て直すことに大きな期待が集まり、2009年の衆議院選挙で政権交代が実現した。しかし、民主党中心の政権がこうした課題に着実な成果があげられないまま、まさにその大きな期待ゆえに失望も大きく、昨年の参議院選挙では惨敗し、「ねじれ国会」という結果になった。
  一方、昨年は、松本龍前副委員長が環境大臣に就任し、COP10などで活躍していることは、わたしたちの喜びであり誇りである。そして、文字通り、政権交代という大きな政治の変革のなかで、わたしたちは、「人権侵害救済法」の早期制定や「人権教育・啓発推進法」の活用、「人権のまちづくり」運動の推進などに全力をあげてきた。また、狭山再審闘争の闘いでも、3者協議のなかで一定の証拠開示をかちとり、昨年12月には、弁護団が新証拠を提出するなど闘いを大きく前進させてきた。ただ、残念なことに、わたしたちは、民主党が掲げた人権政策の実現に期待し、人権や平和の確立をめざして活動を強化してきたが、「民主党人権政策推進議員連盟」の発足などの成果があったものの、不慣れな政権運営のまずさもあって、人権問題の課題が政治の場で十分に協議されることさえなかった。
  新しい年を迎えるにあたり、わたしたちは、部落解放運動を大きく前進させるために、あらためて人権・平和・環境を基軸とした政治の実現に向けて、全力をあげて闘い抜く確固たる方針を開示していかなければならない。

 そのためには、まず昨年の参議院選挙の敗北のきびしい総括をふまえ、今後の部落解放運動をどのように再構築していくのかが、本年の重要な課題である。支部―都府県連―中央本部が、率直な意見交換、建設的な討議をすすめながら、地域での部落解放運動を強化していくことが求められている。とくに、生活・雇用や福祉、「人権のまちづくり」運動などの異体的な課題で地域で部落解放運動を着実に前進させ、支部組織と運動を活性化させることが重要である。
  政権交代のもとで、わたしたちは人権と平和を基軸にした政治の変革がすすむことを期待したが、さまざまな課題で成果をあげているとはいえない。いまだに経済の低迷が続き、格差社会のもとでの不安定な雇用状況や貧困の問題も解決されていない。また、尖闇諸島や北方領土問題、朝鮮半島での南北対立の激化などでは、国権主義や反人権主義が台頭するとともに、こうした社会的な不満や不安が背景となって、土地調査差別事件やネット上での差別書込みをはじめ、悪質な差別事件が起こっている。

 こうした立法事実としての差別事件の実態、真相を広く社会に訴え、「人権侵害救済法」早期制定のとりくみを強化していかなければならない。また、狭山第3次再審闘争でも、弁護団や住民の会、市民の会などとともに、全証拠開示と事実調べを求めて闘いをすすめていこう。
  さらに、当面の重要なとりくみとして、わたしたちは、部落差別撤廃に向けた広範なとりくみをすすめるとともに、人権と平和の確立に向けた政治の実現を共通の目標にしながら、今春の統一自治体選挙に勝利しなければならない。地域での部落解放運動の活性化をはかり、信頼される運動、頼りにされる組織をめざして、全国の仲間たちとともに、部落解放運動を前進させていこう。
  いまこそ、部落解放運動の原点に立ち戻り、部落解放―人間解放をめざして、「人権侵害救済法」早期制定や狭山第3次再審闘争、差別糾弾闘争の強化をはじめ、人権と平和の確立に向けた国内外の連帯・協働のとりくみを大きく拡げるために、ともに奮闘しよう。

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