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部落問題資料室
NEWS & 主張
水平社博物館が
名誉毀損罪で提訴

「解放新聞」(2011.09.19-2535)

1月に差別街宣した男を
悪質極まりない差別行為にたいし
  【奈良支局】「川東大了」と名乗る男が今年1月22日午後1時過ぎ、水平社博物館前の路上からハンドマイクを使用して、「目の前にあるエッタ博物館、非人博物館」「いいかげん出てこい、エッタども、エッタ、非人」などと水平社博物館や相原地区住民にたいして差別発言を連呼した事件(2509号に掲載)で、財団法人水平社博物館(守安敏司・館長)は、8月22日午後3時45分、「在日特権を許さない市民の会」の副会長で関西支部長の川東大了(大阪府枚方市)を名誉毀損罪で奈良地方裁判所に提訴した。

 訴状では、江戸時代以降、被差別部落出身者にたいして面と向かって「エタ、非人」と名指しすることはもっとも露骨で端的な差別発言であるとしたうえで、被告(川東)が、部落問題、水平社運動に関する調査、研究をおこない、人権思想の普及と啓発に資する活動を目的とする財団法人にたいして、「エッタ博物館、非人博物館」と蔑称を投げつけ、「どエッタども、出てこい」などと挑発的言動を意図的におこなった前代未聞の差別事件であり、さらにこの言動の一部始終を自己の動画サイトに投稿し流布させる悪質極まりない差別行為であると断定。水平社博物館が被った社会的、精神的損害にたいする慰謝料として1000万円とこれにたいする遅延損害金を請求している。
  訴状提出後、奈良弁護士会館でひらいた記者会見で、守安館長は、「差別撤廃に尽力してきた人たちへの挑戦状だと受け取れる。また「同和問題の解決は国及び地方公共団体の責務であり、国民的課題である」とした同和対策審議会答申(1965年)を真っ向から否定する、悪質極まりない差別挑発行為だ」と提訴の理由を説明した。
  同席した辻本正教・県連書記長は、「今回のような街宣行動は、特定の人物を攻撃しているものでないため部落差別行為で告訴できず、水平社博物館名による名誉毀損罪での提訴となった。部落解放同盟として厳しく追及していきたい」と決意をのべた。
  代理人の高野嘉雄・弁護士は、「社会の少数者を攻撃して世論を形成するやり方は到底許されない」と裁判に臨む決意を語った。


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