pagetop
部落問題資料室
部落解放同盟ガイド
見解

 

全国水平社創立90周年記念集会集会アピール

 

「起きてみろ、夜明けだ」
  水平社の呼びかけに部落の兄弟姉妹は立ち上がった。爾来90年、残念ながら吾々は、明けきらぬ呪われの夜の長い黎明のうちに今しばらく留まらねばならない。5万日の日延べはもう過ぎたというのに。
  ならば90年目のこの日に、全国に散在する吾が部落の兄弟姉妹に問う。犠牲者はその烙印を投げ返したか。殉教者はその荊冠を祝福されたか。
  吾々がエタであることを誇ることは出来ているか。

 吾々は新しい世紀のはじまりに特別措置と決別した。それは、新たな部落解放運動のはじまりを告げる闘いの狼煙であった。33年の間吾々を守り、また閉じ込めもした「特別」の囲みを打ちはらい、世間に吾々の存在をよく知らしめ、部落内外の協働の力をもって、社会のあらゆる領域に深く組み込まれている部落差別を切開し、その根本のところから創り変える運動へ踏み出した。しかし時を同じくして、「特別」の罠に陥った者たちの残念な事件がマスメディアを賑わせた。吾が同盟への信頼は潰えたかに思えた。それでも心を寄せてくれる多くの人々の支えのもと、吾等は組織を検証し綱領を新たにし運動の歩みを止めずにある。
  吾等は思う。彼らもまた吾々の一部だと。解放の理想の高みをめざすも吾々一人ひとりは脆く弱い。ともすれば怯儒なる行為に溺れるかもしれない。卑屈なる言葉を吐くかもしれない。だからこそ団結を固め闘おう。今なお厳しい差別の現実に立ち向かい、吾々は人類最高の完成を希い求めよう。すべてのきょうだいとともに。
  きょうだいよ、吾々の祖先は自由、平等の渇仰者であり、実行者であった。命の営みに寄り添い立つ者であった。人の世の冷たさがどんなに冷たいかを知っている吾々は声を上げ続けよう。その血を享ける者として立ち続けよう。跋扈する自由市場の闇が世界中の人を飲み込もうとする今、吾等が使命を果たす時だ。夜明け前の暗闇にあろうとも道を違えず、世のケガレをキヨメるは吾等が勤めと任じ進もう。その先に、吾々が吾々のまま世の中に名誉ある地位を得ることができる日が来るに違いない。
  吾々は人の世に熱と光を求め続ける。吾等部落解放同盟はその歴史的使命を自覚し前進していくことをここに誓う。

2012年3月3日
全国水平社創立90周年記念集会

 

部落解放同盟ガイドのトップへ

トップページへ