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部落問題資料室
NEWS & 主張
浄土宗、曹洞宗が差別戒名をつけられた物故者に追善法要

「解放新聞」(2012.09.24-2586)

加担してきた歴史を亡心れず
  浄土宗による差別戒名物故者追善法要が9月5日、北海道地方教化センター・北海道第一教区の天上寺でとりおこなわれた。この法要には、浄土宗の関係寺院僧侶をはじめ233人が、部落解放同盟からは組坂委員長をはじめ栃木の代表も参加した。法要に先立ち「差別意識のカラクリを考える」と題した奥田均・近畿大学人権問題研究所教授による講演がおこなわれた。翌6日は虎井まさ衛さんによる性同一性障害をテーマにした講演を中心に人権研修会がもたれた。
  これは、宗祖法然上人の万人平等救済の教えに背き、差別戒名を付与するなど、差別に加担してきた歴史的事実を忘れることなく、反省・懺悔したうえで物故者への追善を念じようと毎年営まれているもの。04年からは各教区でおこなわれてきている。豊岡鐐ホ・浄土宗宗務総長を導師に営まれた法要での表白のなかで、祖意に背いたことを懺悔滅罪し、諸精霊が志願を受納し、無為の浄土で安らかにならんことを、とのべた。また、差別戒名墓石の改正へさらに努力を続けていく決意も語られた。
  これを受け、来賓を代表して組坂委員長は、改正への努力を大きく評価しながら、げんに、いまも部落差別が存続している事実をあげ、ともに部落差別をなくし、人権を確立していく世の中へ手を取り合って前進していこう、とよびかけた。
  浄土宗による法要は、来年は東北地方教化センターで営まれる予定。

宗門の過ちを直視しながら
  曹洞宗被差別戒名物故者諸精霊追善法要が9月11日午後から愛知県東海市内の普済寺でとりおこなわれた。宗門独自の5回目になるこの法要には中京センターを中心に僧侶など150人が参列。部落解放同盟からも組坂委員長をはじめ愛知県連、また、愛知同宗連も参加した。
  法要では佐々木孝一・宗務総長が導師をつとめ、読経のなか供養の言葉が奉読された。供養の言葉では、「宗門の流れをくむ僧侶が、その教えに反して、差別に加担し、新たに差別をつくり出すという、宗教者にあるまじき行為をしてきた歴史的事実がありました。その一つが、死後にまで及ぶ、この「差別戒名」の歴史です」としたうえで、「この宗門の過ちを直視し、見据えつつ、今後は、仏教を信仰するものとしての僧侶の歩むべき道を切り開いてまいる覚悟であります」と決意を語っている。
  また、主催者あいさつで佐々木宗務総長は、墓石、過去帳の改正がそれぞれ90%をこえていることを報告しながら、差別解消への環境づくりをし、部落解放同盟と連帯し、あらゆる差別撤廃を誓う、と今後の方向も示した。
  来賓を代表して組坂委員長は、心かよう法要にお礼をのべ、改正への努力に敬意を示しながら、手を携え、部落差別をなくし、人権・平和・環境が前進するようとりくんでいきたい、と語った。
  法要のあとは、愛知県連の加藤賢治・執行委員が「部落差別をなくすための仕組み創り」と題して講演をおこなった。


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