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部落問題資料室
NEWS & 主張
部落実態調査集約も検討へ
住環境の実態を訴える
国交省交渉

「解放新聞」(2012.10.22-2590)

高齢者の孤独死と部落の廃墟化を待つような姿勢が
  中央生活労働運動部は、10月1日に、国土交通省との交渉をおこない、部落解放同盟からは15人が参加した。交渉では、部落の住環境の実態や土地差別調査について、具体的な事例をあげながら意見交換をおこない、国土交通省は自治体の部落実態調査の集約化の検討などを約束した。

居住支援などで意見交換
  国土交通省交渉を10月1日午後、省内でひらき、中央生活労働運動部の赤井、安田の両中執をはじめ7府県連から15人が参加。公営・改良住宅など部落の住環境実態調査や、入居差別に苦しむ「住宅確保要配慮者」の居住支援、部落の定住性や高齢社会にふさわしいコミュニティバランスの確保、土地差別調査事件、地震・災害対策などで見解を聞き、意見交換した。
  部落の住環境の実態調査について、省は「同和地区を特定しての調査はひじょうに難しい」としながらも、住宅地区改良事業を実施した改良地区を対象とした調査など「どんな工夫ができそうか、ひきつづき検討し、要望にある調査に近いものができないか検討していきたい」と回答。意見交換のなか、近年自治体段階で実施された部落の実態調査の集約化も提案し、省は検討を約束した。
  部落の公営・改良住宅など公共賃貸住宅団地については、地方分権の国の方針のもと、スラム化に歯止めをかける施策が無力化し、高齢化と貧困化に拍車がかかり自治会も成立しなくなる現実や、建て替えにともなう余剰地売却問題などを厳しく追及。財政難の自治体の部落問題解決の行政責任放棄-▽高齢者の孤独死と部落の廃墟化を待つような姿勢▽部落の公共施設の統廃合・売却▽入居者が亡くなれば一緒に住んでいた子・孫も改良住宅から出す、などの実態や、一般公募で部落の団地へ入った困難を抱えた人たちも「私たちは部落の者ではないから自治会へ入る必要はない」と同じ団地内で差別を生んでいる実態も、具体的に訴えた。

研修なしが回答の3割弱
  省は「これまでのとりくみの成果を損なうことがないようあらためて確認していきたい」「お話を聞き、個個の実態についてまだまだ勉強が足りないとわかった」「実態を勉強して対応したい。コミュニティバランスの旗をしっかり大切にしたい」など回答した。
  土地差別調査事件については▽都道府県への調査(10年3月)で人権啓発活動をしていない行政庁が相当程度あった▽宅建業者の実態調査(10年12月)で人権研修をしていない企業が回答数の約3割弱あった、など報告。大阪府と「不動産に関する人権問題連絡会」のとりくみには「地域の実情に応じた業者団体等による先導的とりくみ。業界に人権意識をいっそう浸透させるもの」などの見解を示した。


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