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部落問題資料室
NEWS & 主張
差別事件こそ、差別の実態そのもの
9.25医療機関職員および納品企業社員による差別発言事件から学ぶ学習会

「解放新聞」(2012.11.05-2592)

差別意識は社会意識として息づいている

 【滋賀支局】「差別事件こそ、差別の実態そのもの。差別意識は社会意識としていまも私たちの社会のなかに息づいている。差別事件から学ぶことが重要な啓発、研修である」と9月25日、甲賀市あいこうか市民ホールで「医療機関職員および納品企業社員による差別発言事件から学ぶ学習会」をひらき、企業・行政関係者や関係機関団体などから500人が参加して学習を深めた。主催は、同学習会実行委員会。

 学習会では、甲賀市の正木仙治郎・副市長が、「今日の学習会を機会に人権尊重の社会の実現に向けてとりくみを強化していく」と主催者を代表してあいさつ。その後、当該の行政、企業から今回の事件(別項参照)の概要と明らかになった課題の解決に向けて、それぞれの立場からとりくみの報告をおこなった。
  県連からは、事件の分析として①「同和地区と間違われては困る」という「みなされる差別意識」②同和問題に関する研修をおこなってこなかった企業研修③何が差別かも検討することなく、とにかく謝罪さえすれば解決するという企業姿勢など、分析と課題を示した。また、この課題解決に向けて①「みなされる差別意識」に有効な市民啓発研修の検討と実践②同和問題の解決は行政の責務、国民的課題という視点に立って総合的にとりくみをすすめる、など今後のとりくみを提起した。
  その後、近畿大学の北口末広さん(大阪府連委員長)が「差別事件から何を学ぶか-差別事件をどうとらえるか」と題して講演。北口さんは、「知られない人権侵害は解決しない」とのべ、日び発生している差別事件を多くの市民に知らせるとりくみが差別撤廃のスタートであると提起し、分析が弱ければ出てくる課題もまた弱くなってくる。そのためにもていねいに差別事件を分析し、より深い課題を見つけるとりくみが重要とのべ、「法」は行動を変える、「行動」が変われば「意識」も変わるとまとめた。
  栗東市の平田善之・副市長が閉会のあいさつをのべて学習会を終えた。

事件の概要
  ①医療機関等差別発言
  2008年4月1日、D医療機関で、そこの職員Aと納品企業社員Bの会話のなかで、社員Bが「どこからきてんのや」「○○(部落名)からきてんのやな」「○○(部落名)だろう」と。職員Aは、上記の発言を執拗にいわれたとして草津市人権センターへ相談。相談の動機は、部落とみなされたくないという忌避意識によるものだった。
  翌2日、職員Aが社員Bの発言にたいして納品企業に電話で抗議。翌3日、社員Bが医療機関を訪れ、職員Aに土下座による謝罪をおこなったもの。

  ②「医療機関等差別発言」における納品企業社員への聞き取り調査中における差別発言
  2009年10月、納品企業滋賀支店で聞き取りをすすめていくなかで、社員Cが「△△支店(大阪府内)は裏が肉屋さんで、屠殺場ですよね。△△支店には「エリア特性があるので、新任の支店長には注意しろ」と言っています」と発言したもの。


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