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ずさんな捜査指揮が明らかに
氷見事件国賠訴訟・第21回口頭弁論

「解放新聞」(2013.10.07-2637)

 【北陸支局】氷見事件の国家賠償請求訴訟の第21回口頭弁論が8月19日、富山地裁でひらかれた。前回同様に警察官への証人尋問で、ずさんな捜査指揮が明らかとなった。
  この日は、当時のM氷見警察署長、1月、3月、8月事件の捜査を主導した県警本部のF捜査一課長、血液型鑑定をおこなった県警科学捜査研究所のT技術吏員の3人が証言した。
  柳原さんの犯行とされた事件(氷見市内では2002年1月と3月の事件)の真犯人は、5月と6月には石川県で、そして柳原さんの公判中の8月には氷見市、さらに2003年にも同様の手口で犯行をくり返していた。捜査が適切におこなわれていれば、柳原さんのえん罪は防げたうえ、一連の犯行も抑止できた可能性が高い。
  8つの事件が発生し、M元署長は1月、3月事件との類似性、とくに使用された靴の共通性が気になり、捜査会議で「どんな靴だったかと聞いた」が、F捜査課長らから「あれは(1月、3月事件)終わった。似た手口はある」といわれたと証言。F捜査課長もM署長から事件の類似性を指摘されたことを認めており、類似性を話題にしながら、「事件は柳原さんの逮捕で解決済み」とした捜査機関の落ち度が明らかとなった。
  また、1月、3月事件で使われた靴は、警察の鑑定で同じコンパースと判明していたが、柳原さんが任意同行される以前に作成された「柳原さんの車のなかでコンパースの靴を見つけた」という報告があったと捜査指揮簿に記載されていることを、弁護団は重視して「柳原さんはそもそももってない。犯人に仕立てるための虚偽報告ではないか」と追及。M署長は「そんなことは絶対にない」と語気を強めたが、「車のどこか」と聞かれたF捜査課長は「覚えていない」など無責任な答えに終始した。
  1月事件で被害者の下着に付着した体液の血液型鑑定をしたT技術吏員は、弁護側の尋問に、可能性としてはA型ないしO型ともいえ、B型の要素が存在しない(柳原さんのAB型も同様)可能性を認めた。
  次回の第22回口頭弁論は、10月21日午前10時から富山地裁。原告の柳原さんが取り調べの違法性について証言する。

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