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ドキュメンタリー映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』の上映運動をすすめよう

「解放新聞」(2013.10.07-2637)

 7月におこなわれた狭山事件第3次再審請求の14回目の三者協議では、弁護側が求めた未開示の筆跡資料や手拭いに関する捜査資料の開示について、検察官は必要性がないとして開示しなかった。また、証拠物のうち当時集められた筆跡資料についてはプライバシーにかかわるので開示しないともしている。
  しかし、狭山事件は事件発生から50年も経過しておりプライバシー侵害の可能性は考えにくい。これらの筆跡資料は当時の捜査で集められ、2書になって東京高検の検察官が番号を付けて領置した証拠物であり、関連性のないものとは考えられない。狭山事件で石川さんを有罪とした確定判決が証拠の主軸にあげたのが筆跡の一致であり、再審請求の重要な争点である。
  三者協議で、東京高裁第4刑事部の河合裁判長も証拠物は客観的証拠であり開示の方向で再検討を促した。そのほかの証拠開示も柔軟な対応を促している。検察官は裁判所の勧告にしたがい、未開示の筆跡資料などの証拠物、その他の証拠をすみやかに開示すべきである。

 弁護団は、石川さんの自白にもとづいて発見されたとして有罪証拠とされた腕時計について、被害者が使っていたとするバンド剣先(先端)から3番目の穴よりも5番目の穴が使用されていることを指摘した時計修理士の報告書などを新証拠として東京高裁に提出し、発見腕時計は被害者のものではないと主張した。これにたいして、検察官は、5月27日付けで、科学警察研究所の技官による鑑定書を提出し、剣先から5番目のバンド穴は使用されていないと主張した。
  弁護団は、マイクロスコープを使って撮影した写真などをもとに時計修理士の第2次報告書を8月末に提出し、検察官の意見の誤りを指摘した。第3次再審では、検察官から筆跡、殺害方法、スコップ付着土壌、腕時計について意見書が出され、弁護団は再反論の意見書を提出している。専門家による鑑定の論争となっており、鑑定人尋問などの事実調べは不可欠である。筆跡鑑定や法医学者の鑑定もふくめて、東京高裁は鑑定人尋問を実施すべきだ。

 これまでの三者協議で130点をこえる証拠が開示され、逮捕当日の上申書や腕時計、鞄の捜索報告書など重要な証拠の開示によって無実の新証拠が発見されている。弁護団はさらに徹底した証拠開示を求め、裁判所も開示を促しているが、検察官は、必要性がないなどと十分応じていない。証拠開示を求める世論をさらに大きくしていくことが重要だ。
  また、10月31日で狭山事件の確定有罪判決となっている東京高裁の寺尾判決から39年になるが、この39年間、証人尋問などの事実調べが一度もおこなわれていない。いまこそ事実調べをおこなうべきだという世論を大きくしていかなければならない。

 次回の第15回三者協議は10月下旬におこなわれる。これに向けて、狭山事件の真相と石川さんの無実をより多くの市民に知ってもらうために、えん罪・狭山事件パネル展や狭山事件50年の集会などのとりくみを各地ですすめよう。
  東京高裁の寺尾判決から39か年をむかえる10月31日には実行委員会主催で狭山事件の再審を求める市民集会が開催される。弁護団の三者協議の報告をうけて来年にかけてのヤマ場の闘いを確認する。広く参加をよぴかけて結集しよう。
  また、狭山事件のドキュメンタリー映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」が10月に完成する。この映画は50年も無実を叫び続けている石川さんの姿を描いたドキュメントである。映画製作委員会では、この映画の完成上映会を10月31日を皮切りに東京、大阪、神戸でおこなう。とくに、10月31日の市民集会後に日本教育会館でおこなわれる上映会には集会参加者はぜひ参加してほしい。
  さらに、全国各地でこの映画の自主上映会をパネル展などとあわせて計画し、来年にかけてのヤマ場の闘いの一環として、全国的な上映運動をすすめたい。
  第3次再審請求で徹底した証拠開示と鑑定人尋問などの事実調べを実現し、再審開始をかちとろう。


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