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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第1988号/00.10.02
 シドニーオリンピックで高橋尚子選手が、女子陸上で初の金メダルを取ったと大騒ぎし、柔道の篠原真一選手がジャッジミスで金メダルを逃したと、「日本中が怒り」と大見出しを付けるスポーツ商業紙。ニッポンの選手がんばるのオンパレードが、あらゆるメディアに露出している/いったい、オリンピックの種目以外の競技で優勝やトップに立ったとき、商業紙の一面トップに大きな写真入りで記事が出、選手のライフストーリーまで掲載するだろうか。いままでみたことはない。なぜオリンピックだけが、という疑問がつきまとう/わが家も連れ合いや子どもたちはオリンピック放送に夢中だ。なぜニッポンだけを応援するのだと聞くと、外国人の応援もするとはいうものの、テレビ放映は圧倒的にメダルが取れそうな日本選手中心。これでは日本選手への応援だけになってしまう/A紙は社説で「ナショナリズム 陶酔がもたらすものは」を掲載した。ニッポンの選手への応援という、ごく自然な発露という抑制が利いた健全なナショナリズムはいいが、憎悪と排外のナショナリズムに陥らないように、という「抑制が利いた」中身だった/自由主義史観なるものにもとづき「エゴイズムがあふれ、公共心を欠いた、わい雑な社会への嫌悪感。それが、自己犠牲をいとわない忠実な国民に支えられた、美しく気高い国家、という仮想現実をふくらませている面がないだろうか」/ナショナリズムが露出するときは部落差別も強化されるときだ、ということを忘れてはならない。

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