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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第1980号/00.08.07
 世の中、どうも住みにくくなっていると思ったら、やっぱりそうだった、と実感させるのが『不平等社会日本―さようなら総中流』(佐藤俊樹著・中公新書)。80年代末から、管理・専門職の親の子はそれという固定化が進んでいる、という。事実、東京大学など一部のエリート校とよばれるところでは、所得のある子どもが入る、という構造ができあがっている/筆者の結論は、これまでの総中流化幻想がくずれた、というのではない。もともと、高度経済成長期に総中流か現象はなかった、というのだからショッキングだ/努力すれば上へ行ける、なんとかなる、という感覚は、管理・職門職にポストが増え、多数が学歴社会に参入したからなのか。意識や感覚も含めて、もっとち密な分析が必要だろう/いまの世の中、いくら努力しても、自分の将来の姿がみえるというのが、高校、大学進学の岐路に立たされる14歳(中2生)17歳(高2生)の子どもたち。何をやってもムダ、遊ぶしかない、と観念する子どもたちも、当然、出てくる/そんななかで、いま売れているのが『だからあなたも生きぬいて』(大平光代著・講談社)。中2でいじめを苦に自殺未遂、非行に走り16歳で極道の妻に、養父に出会い立ち直り、29歳で司法試験に合格という実話/がんばれば立身出世できるという、中学生向けに書かれた本書、150万部を突破。不平等社会だからこそ売れる本/それにしても自分をこうさせた社会への復習が「司法試験」合格とは何かが転倒している。

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