pagetop
部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第1981号/00.08.14
 日本のなかで階層、階級の固定化がおこっている。とくに80年代後半に入ってからは、この傾向が顕著だ。自分は中間層だという思い込みも、いまや総中流意識の解体というかたちで、ほぼ完全に消えてしまった。そして世は不況。すべては自己責任という名のもとに人びとはほうり出されている/こんなときに大手をふって出てくるのがナショナリズム。私が私、私たちが共通の私たちであるという価値観の喪失などが背景にある。自分だけがよければいい、官僚や警察機構のデタラメさ、あいかわらず利益誘導型の政治などなど、いまの社会は目標を失い、漂流しているかのように見える/そうした現状を「批判」し、強い、元気な日本に、人びとは癒しを求める。都知事の石原慎太郎がもてはやされるのは、そこに根拠がある/「神の国」発言の森首相の地元、金沢市内の石川護国神社に「大東亜聖戦大碑」が建ち、4日、記念式典がひらかれた。高さ12㍍で「大東亜戦争をたたえる和歌や寄付者の名前も刻まれ」ている/実行委員長は「戦後、亡国憲法が押しつけられ、国民の大多数が本来の精神を失った」「(碑を拠点に)真実を世界に伝える」活動をするという/一笑にふすのは簡単だ。しかし、反動的なこうした史観、言説が、いま、なぜ登場し、マスメディアのなかでもてはやされ、若者のなかにも支持者を増やしていくのか。それは最初に書いた現状が要因なのだが、もっと深く考える必要があるだろう/彼らの貧困な発想に、貧困な反対運動の対置だけではダメだ。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)