知れば知るほど驚き、一体これは何のためにするの、と疑問がふくらんでいくものがある。9月3日に東京で予定されている「総合防災訓練」もその一つだ。この訓練の名称は「ビッグレスキュー東京2000~ 首都を救え~」。東京都と自衛隊が中心/訓練には四千人の自衛隊員をはじめ、民間企業、団体関係者なども、当然のように動員される。中身は①晴海埠頭から海上自衛隊が部隊進出②自衛隊部隊が銀座を通行止めにして占拠③住宅街にパラシュート降下した自衛隊が偵察活動④地下鉄・大江戸線にのりこんで自衛隊が大移動⑤全国から自衛隊が東京に結集、などというもの。トラック、水タンク車など車両800台、ヘリコプター、輸送機、偵察機など航空機50機。これらが東京都内10か所で訓練をおこなう/銀座は野戦服の自衛隊員であふれ、キャタピラの音がなりひびき、空ではヘリがまわる。もうまるで帝都防衛大戦争といった調子でハリウッド映画もまっ青だろう/しかし、よくみると防災というより治安維持に力点がいっていることがわかる。大江戸線での自衛隊員の移動などはその典型。地下鉄を使うことで一駅ごとに反乱者を制圧していく、という展開になっているのだ/4月9日の石原都知事発言は、「三国人、外国人が……大きな災害では騒擾事件すら想定される。警察の力では限界があるので、救急だけではなしに、治安の維持も大きな目的として遂行してほしい」と語ったことの具体化がこの訓練。差別・排外主義にもとづく訓練には、意義ありだ。
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