格闘技がブームだ。とくにＫ－1（空手、キックボクシング、カンフー、拳法などの総合格闘技の世界最強決定戦）人気はすごい。パンチ、キックの立技中心で、鮮かなノックアウトシーンは、テレビばえする／とくに、９６年に優勝したスイス出身のアンディ・フグ選手は、Ｋ－1の代名詞にまでなっていた。「いた」と過去形で書いたのは、８月２４日にフグ選手が死去したため。病名は急性前骨髄球性白血病。血液のガンと呼ばれるもので、入院後、わずか６日目で死去した「鉄人」と称されても病魔には勝てなかった。３５歳だった／フグ選手はもともとは極真空手の出身。極真ルールでは顔面打撃はない。Ｋ－１は、打撃系格闘技出身者が有利で、極真ルールできたフグ選手には顔へのパンチは未知の世界だった。最初の２年間は緒戦で敗退していた。しかし、人の３倍、５倍の練習をつみ、９６年に優勝した／２７日の葬儀には１万２千人が参列、最後の別れを惜しんだ／こうした格闘技ブームの根っこには、プロレスやボクシングがある。今日の礎をきずいたのが、この２つの格闘技だ／２７日のボクシング、スーパーフライ級タイトルマッチで、在日朝鮮人の洪昌守（ホン・チャンス）選手が韓国のチャンピオン曺仁柱（チョウ・インジュ）選手に勝った。「KOREA IS ONE」と書かれた統一旗のもとでの試合。新チャンピオンの洪選手は右手に朝鮮国旗、左手に統一旗をもって高だかとさし上げた／人を結びつけ感動させる格闘技の魅力が、ここでも発揮された。