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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2076号/02.07.08

日本の近代思想

鹿野正直 著  岩波新書(定価780円)

書籍画像 ふと、いま自分がたつ位置について、後年の人たちはどんな評価を下すのだろうと思うことがある。とくに最近そんな思いに囚われる……。
 本書を読んであらためて、感じるのは、多くの人が人間の幸せのために苦闘してきたということだ。失敗しながらも人は前を向いてきた。人間の歴史とは、決して侮れない人の生き死にの蓄積なのだとつくづく思う。
 最終章に「人間として」と題した一文がある。水平社の闘いを紹介したものだ。伊藤雅子の疑問を載せている。「水平社宣言」はなぜ、よびかけが「兄弟」であり、吾われの先祖が「男らしき産業的殉教者」であったのかと。そしていう「こんなにも人間の尊厳に熱く心をたぎらせた人たちですら、痛みを分かち合ってともに生きてきた女たちを意識の外に置き、性による差別には無とんちゃくでいたということ。これも時代の刻印のひとつかと思わせる」と引用している。
 はたして、部落解放運動はこうした課題に応えていくべきときを迎えているのかということを指摘しておきたい。(安)

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