「大東亜」戦争を知っていますか

倉沢愛子　著　講談社現代新書（定価680円）

　小泉首相の北朝鮮訪問で、拉致事実と謝罪がされた。「死亡」数人という情報も確認がないものの大きなショックだ。
　金大中事件も韓国の情報機関による日本からの拉致であった。その後、犯人の日本への引き渡しはなく、韓国政府との間に政治決着がされた。
　拉致問題は、冷静な国際人権基準にのっとった解決への手つづきがはかられるべきだ。「冷静な解決」とは、かつて日本が拉致あるいは拉致同然に連行して過酷な労働や軍隊の性奴隷として人間をポロ屑のように使いすてたことに政府が明確な謝罪と解決をしていないという事実においてのことだ。
　都合のいいときだけ人権という言葉が使われるという二重基準があってはならない。人権は普遍性があってこそ信頼を得る。「大東亜戦争はいい側面もあった」と思い込んでいる人がいる限り、真の解決は遠いだろう。アジアの植民地の独立に寄与したという居直りも事実はちがう。
　あなたは「『大東亜』戦争を知っていますか」と問いかけている。（安）