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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2091号/02.10.21

盲導犬クイールの一生

黒謙吾 文 秋本良平 写真  文芸春秋(定価1429円)

書籍画像 引き込まれたのは、表紙の写真だった。タイトルに「一生」とつくくらいだから、最後には死ぬのだろう、それはイヤだな、と思った。しかし、つい手にとってしまった。被写体である「クイール」が、愛をまとっていたからだ。
 本書は、一匹の盲導犬が生まれてから召されるまでを、一台のカメラが追いつづけて誕生した。ページをめくると、クイールがこちらを見つめている。その写真の数かずは、とても優しい。おたがいの信頼関係がそうさせているのだろう。
 クイールは、盲導犬として訓練を受けたあと、パートナーとともに歩きはじめる。「盲導犬は、ただ道を教えてくれるのではなく、気持ちを明るくしてくれる。友達なんですね」。犬嫌いだったパートナーの言葉だ。
 犬と人間のあいだに、友情は確かに存在している。しかし日本では、盲導犬が本当に少ない。盲導犬にたいする人びとの関心が低いことも原因の一つだ。本書によって、多くの人にクイールの生きた証が伝わることを願った。(亀)

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