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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2092号/02.10.28

狭山裁判の超論理
表が出たら私の勝ち
裏が出たらあなたの負け

半沢英一 著  解放出版社(定価1800円)

書籍画像 表が出たら私の勝ち、裏が出たらあなたの負けとはメダルの表裏のいずれが出ても、こちらの負けという、まったくのご都合主義の論理のことだ。こんなご都合主義を、半沢さんは「超論理」と名づけた。たしかに、狭山再審での裁判所の対応はそのとおりだ。
 その典型が筆跡だ。上申書と脅迫状の筆跡は異なってあたり前、それは書くときの環境によって心理的に異なってくるからだ、と裁判所は事実認定を変えてきた。しかも、もともと石川さんには補助手段がなくても脅迫状を書く能力があったとして、まんが雑誌『りぼん』から字を抜き出して脅迫状を作成した、という自白とこれまでの認定を完全に無視したのだ。
 この超論理にいどんだのが半沢さん。この本の前半では狭山事件の再審までの流れが、じつにわかりやすく書かれている。後半は、実際に石川さんの文字、脅迫状の文字を対比しながら、両者の筆跡が異なることを、みずからの目と手でわかるように構成されている。いますぐ本屋へ走り、読むべし。(A)

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