部落の現状をどうとらえ、分析し、差別解消の途を探るのか。なかなかむずかしい課題だ。たとえば、都市部落で顕著な傾向は相対的に裕福な層が部落から出、貧困な層が部落に流入するということだ。とくに八〇年代に入ってから
▼こうしたなかで部落の子どもたちはどういうかたちでみずからのアイデンティティを形成しているのか。自分が努力を重ねてもこの程度にしかならない、ということが見える、いまの階層が固定した社会のなかで子どもたちはみずからの学力をどう考えているのか
▼新指導要領が始まり、総合学習が開始されたなかで、公教育そのものの責任を放奏し、すべてを競争原理の名のもとに資本に教育まで丸投げする。こんなことが政府によってすすめられている
▼解放出版社発行の外川正明さん著の『教育不平等』は、実におもしろい。というより、ようやく問題意識がほぼ重なる人に出会えた喜びを感じた。彼は、ここまで書いたことなども問題意識にしながら、部落差別が再生産される根底にある問題、部落の子どもたちの低学力が、なぜ、どのようにして再生産されるかを分析している
▼そのなかで示されるのが「文化と不平等」の問題だ。詳しくは同書などを参照してほしいが、親や周囲の人びとのもつ文化資本、関係資本の大きな違いが差別を支える構造になっているということだ
▼こうした面での今後の研究の深化を期待したい。
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