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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2111号/03.03.17

心理療法 個人授業

河合 隼雄/南 伸坊  新潮社(定価1300円)

書籍画像 「癒し」が流行から定番になり、深層心理などの言葉も身近な言葉になつた。シロートにもできる心理テストや、人をタイプ別にわける特集が、簡単に人の心がわかると思わせている。しかし一方で、人の心が「わかる」と思いこんだ精神科の医師から「なにをするかわからない」と判断され見放された人びとが、いま「予防拘禁法」によって社会から隔離されようとしている。
 本書は、心理療法とは、臨床心理学とは、ということからはじめ、カウンセリングや心理療法が万能ではないことに焦点をあてている。専門家がむずかしく説明するのではなく、シロートを自認する南伸坊が「個人授業」を受け、レポートを提出する形で私たちに語りかける。そのなかで、先生である河合隼雄は、「心理療法は卒業後の研修が大切だ」と何度も説く。人の心が「わかった」と思うのが一番危険だと。
 あいまいな定義で「精神病」と判断し、精神医療を「治安の道具」にする予防拘禁法の廃案へ、決意と知識をくれる一冊だった。   (亀)

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