こんな国いらない！

鎌田　慧　　著　　七つ森書館（定価1600円）

　思想統制、住民管理、戦争。20世紀末期から、いまもなお急速に恐ろしい政策が国政で現実化しつつある。日本国憲法や国連といった人類の成果の尊重を装う日本政府の偽装は、さまざまな分野から見破られている。
　たとえば人類の到達点「死刑廃止」に政府はやっと腰をあげはじめた。が、その政府が、電気イスのかわりに高性能ミサイルでイラク首脳の死刑をはじめた米英に加わり「犠牲者はすくないほうがいい」といってのけた。つねに警戒が必要だ。
　「イラク攻撃反対」は日本でも多くの人が表明した。しかしノーという私たち各個人に政府の人権感覚と五十歩百歩の分野がないといい切れるか。多面的・総合的な攻撃のなか、私たちが分裂させられてはならない。
　国政に警鐘を鳴らす本も、いまや教育、労働、医療など多分野から出ているが、大部分はその分野に興味がない人には読みにくい。この欠点を克服するのが本書。著者がここ１、２年に新聞や雑誌に発表した多様な短編を収録。読みやすく、団結を固める。（K・S）