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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2129号/03.07.21

ビルマ軍事政権と
アウンサンスーチー

田辺寿夫(ジャーナリスト)・根本 敬(東京外国語大学助教授) 角川書店(定価800円)

書籍画像 5月30日、ビルマで、アウンサン・スーチーさんをはじめ多数の国民民主連盟のメンバーらが軍事政権に拘束された。62年以来、軍事政権による軍事独裁体制のもと、生命も奪う弾圧への恐怖を背景に、民衆は民主化へのあきらめの気持ちと苦しい生活を強いられている。けっして他人事ではない。62年のクーデターで実権を握った国軍の体質は「大日本帝国陸軍そのまま」で、88年の国軍によるクーデターで成立した現軍事政権にも引き継がれているようだ。軍事政権に限らず、民衆統制の傾向は各国政府にあり、とくに「9・11同時多発テロ」後、「反テロ」名義で治安強化―国家強化をはかる政府間協力は、監視・管理技術の発展も背景に急進行中だ。いまは無事の日ではない。
 人権は闘いとるものだ。しかし世界はすでに国境をこえた民衆の連帯がなければ人権の前進は困難な時代に突入している。ビルマの先例から日本政府の動向の危険性を読みとるとともに、「無関心」の危険性を悟り、世界の民衆と連帯する糧にしてほしい。(S・K)

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