pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2137号/03.09.22

豊かさの条件

暉峻 淑子 著  岩波新書(定価740円)

書籍画像 本書は、バブルの最中の著作『豊かさとは何か』の続編。「経済指標が表す富」と「生活や人間性にとっての豊かさ」とのかい離を指摘した前作につづき、深刻な不況下で出版された本書も、アメリカ型のグローバリズムのなかでより競争・効率を追及しつつある社会からの転換を訴えている。
 賃金カット、リストラ、超長時間労働、働き盛りの自殺、不登校、いじめ、などなど、競争至上主義のもとで人権を押しつぶされる労働者や子どもの状況をつぶさに分析し、「安心と安全と信頼できる人間関係」の大切さを指摘。著者自身の長年のNGO活動からも人間社会の本質は「助け合う互助と互恵の社会」だと力強く説き、「至上万能社会に代わる、地道で新しい発想への転換」を迫る。
 「歴史の本には数々の戦争は記されているが、庶民の助け合ってきた歴史は記されていない」「世界の人びとと共に生きようとする高い資質の知は、人間にとって真の資本である」と語る著者の視点は、部落解放運動の展望にも大きなヒントを与えるだろう。(K・S)

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)