pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2138号/03.09.29

出生前診断
一問一答

優生思想を問うネットワーク 編  解放出版社(定価1000円)

書籍画像 いまの日本は、けっして障害者が暮らしやすい国ではない。だからといって、障害者は「かわいそうな人」なのだろうか。
 近年、30歳をすぎて初産をむかえる人が増えてきた。はっきりとした根拠もなく35歳以上の女性には羊水検査がすすめられ、年間5~6千人が受けているという。そして、何らかの「異常」があると診断されたうちの、9割が人工中絶を選んでいると本書は指摘する。
 羊水検査だけでなく、新たな診断方法も開発されている。その「開発」は、「異常」があれば早期に治療ができるという建前だが、実際には「疾病や障害が発見されたとき、プラスのイメージで説明を行う医師はまれ」だ。
 「人生の最初の段階で疾病や障害をもっていたとしても、それを理由に、子どもの人生自体をうばうことはあってはならない」と著者はいう。「元気な子」をのぞまれ、みずからも子どもの健康を願う。その、当たり前のようなことが障害者の暮らしにくさを棚に上げ、知らず知らずのうちに生命を選択している。その先に、優生思想がある。(亀)

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)