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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2139号/03.10.06

動物化する世界の中で
―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評

東 浩紀  笠井 潔 著  集英社新書(定価660円)

書籍画像 昨年の2月から12月にかけて交換された往復書簡(ウエッブ上で公開されたものだが)を収めたのが、この本だ。筆者の一人、笠井潔は1948年生まれの団塊の世代で全共闘経験をもつ。かつては政治党派に属し、いまはマルクス葬送派をへてミステリー作家、評論家。もう一人の東浩紀は1971年生まれで、サブカルチャー研究を専門分野にしている。
 期待して読んだわりには、まったくの肩すかしというのが全体的な印象だ。なぜそうなるのか。
 笠井は自分の思想的転回を必死になって説明しようとする。全共闘体験からはじまり、80年代の「大きな物語」の終焉をへて、「大きな物語」を支えてきたマルクスを葬ることが大事と力説し、ミステリー作家としての現在にいたっているのかを、えんえんと説明する。
 東は、たしかに80年代は重要な時代だったとしながらも、かすかに残る「戦後民主主義」と現実世界―社会への結びつきを重視する。
 二人の論議はかみ合わないが、私は断固として若い東を支持する。(A)

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