pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2145号/03.11.17

世界のプライバシー権運動と監視社会

白石 孝・小倉利丸・板垣竜太 編  明石書店(定価2200円)

書籍画像 「住基ネット、IDカード、監視カメラ、指紋押捺に対抗するために」の副題がつけられた本書は、大日本帝国、戦後、脱冷戦のグローバル化、の3つの時間をとおして管理・監視社会を分析し本質を浮きぼりにする。
 監視社会の核心にあるものは、「私が何者か、私が将来何をしでかすかを説明できるのは国家や警察だということ」であり、「人の出生、出自、民族、国籍などへの偏見と差別のある社会は個人データをこうした偏見と差別によって分類し、監視するだろう」「人と異なる行動をとったり批判的な行動をとるなど目立つ振る舞いを避けるようになるだろう。監視社会は人々を萎縮させ、どのような社会であれ人間の集団が必然的に持たざるを得ない社会的な矛盾や問題を人々自らが解決する努力を阻止し、今ある社会の秩序を―それがいかに不合理で理不尽な仕組みをもっていようとも―そのまま維持・再生産しようとする」ことであり、監視社会の解体には日本社会の負の伝統的な文化・価値観との闘いが必要であることも示す。(E)

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)