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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2146号/03.11.24

1冊でわかる
文学理論

ジョナサン・カラー 著  荒木映子・富山太佳夫 訳  岩波書店(定価1400円)

書籍画像 岩波書店から出ている1冊でわかるシリーズ。題名どおり文学をめぐる理論の解説書なのだが、実は、文学理論はいまや現代思想と切り離しては考えることができない。文学とは、理論とは何かから始まって、カルチュラス・スタディーズ、言語論、パフォーマティブな言語、アイデンティティなどをあつかう。
 このなかでは、現代思想、たとえば最初に展開されるのが、フーコーでありデリダである。そして、最後の方でパフォーマティブをめぐる問題に関連してジュディス・バトラーがとりあげられる。パフォーマティブとは、バトラーにとっては、アイデンティティとは何か、いかにそれが生産されるのか▽社会的な規範の機能とは何か▽そこまで、そんな条件の下で私は自分の行為を選ぶ、責任ある主体になりえるのか▽個人と社会的変化の関係とは何か、を問うものになる。
 ものを考えるうえで、俯瞰図としてこの本を読むのもおもしろい。もちろん、理論そのものが答えを用意しているわけではないが。  (A)

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