pagetop
部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2103号/03.01.20
 義理と人情を抱きしめて最後の大出入りのシーンになると、映画館から声があがる。健さんがもろ肌を脱ぎ、日本刀を片手に叫ぶ。これは六〇年代末の典型的なやくざ映画。深夜興行には多くの学生も詰めかけた。時代全体が高度経済成長のもとで熱気にあふれていた
▼義理も人情も関係ない、ひたすら縄張り、利権のために争いを繰り返し、寄らば大樹の陰と「代理戦争」までくり広げたのが広島戦争とよばれるものだった。これをいち早く、笠原和夫が脚本にし、一九七三年から映画化したのが『仁義なき戦い』だった
▼殺人シーンをはじめ、リアルな描写が評判をよんだ。なによりもおもしろかったのは、登場人物のキャラクター。人間の持つ弱さがよく表現されていた
▼『仁義なき戦い』を撮り、九六年にガンであることを公表してきた深作欣二監督が、先日亡くなった。新作撮影中だった。深作作品で見たかったのは、笠原シナリオの『いつかぎらぎらする日』(同名の映画があったが、それは別。戦前の日本共産党の武聞派幹部を描いた青春映画)。映画会社の横やりで実現しなかったという
▼暴力をもとに利権を獲得するという構図は、当然にも国際社会を覆っている。アメリカによるイラク攻撃も、ここ数十年で枯渇するといわれている石油資源を奪うためのもの、と見ると大変わかりやすい。ならず者をたたく、というならず者を許してはならない。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)