今、手元に「貴引退」とのスポーツ新聞の号外がある。朝刊の締め切り時間には間に合わず、しかし夕刊には間がありすぎる。新聞社としては、号外を出さざるを得ないのだろう
▼しかし、さすがスポーツ紙。カラーで表面は飾っている。しかも、引退という文字は、超弩級。業界的にいえば五百級位の超大文字。でも、大判の新聞ではこれでもはえる。さすがだ
▼貴乃花は史上最年少幕内優勝、歴代四位の優勝二十二回など、さまざまな金字塔を建てた。これは、実にすごい記録だ。まさに並の力士は足元にも及ばない。ある種、エリート教育のたまものでもある
▼一昨年夏場所で、小泉総理に感動を与えた優勝。これは、重傷をおしての強行千秋楽出場だった。これ以降、昨年の秋場所まで休場がつづいた。引退となった今場所では左肩負傷のアクシデントに関わらず、まだまだ勝つ相撲を見せた
▼しかし、これなど素人目で見ても、本当に勝てているのか、という相撲だった。やはり、七、八日には完全に負ける相撲となった
▼気になるのは、これからどうするのか。後進を育てる親方になるのだろうが、兄と同じように、わがままでどうしようもない、という失敗を繰り返さないことだけを祈る
▼自分中心に世界が回っている、と思い込むところが人気者にはある。それを克服し、あらゆる方面に目が開けたときに、はじめて人は大成するのだ。