国際金融の実態がどうなっているのか、NHKがスペシャル番組で十回にわたって放送する。第一回目は巨大年金マネーが世界を駆けめぐるだった
▼ヘッジファンドというものをご存知だろうか。これは、大量の資金を短期間に回して高率の利益を得る投資会社のことだ。番組ではブラジルの大統領選挙が取りあげられた。一方のヘッジファンド会社は、有力候補が当選するとブラジル経済は極端に悪化するとみる。もう一方の会社は、どの候補が当選しても経済は回復基調を迎えると読む
▼そう、これは巨大な金を賭けたゲームなのだ。これからどうなるのか、コンピュータ、人が分析する。勝てば金が舞い込んでくる。テレビでは、空売りという手法（たとえば一か月後に現在と同じ値段で通貨を売るという約束でそれを買う。実際の通貨価格が下がれば巨大な儲けが転がり込んでくる）で一方は通貨を買い、もう一方の会社は国債を買う
▼ブラジル大統領選が終わり、経済は復調基調を示し、結局は国債を安いときに買い、高値で売った後者の会社が勝った
▼ここでわかるのは、一国の経済や株価が下落してもヘッジファンドの会社は儲かるという構造。日本の年金運用も担うヘッジファンドの狙い目は、株価が低迷する日本の株式市場。ハゲタカファンドが闊歩している
▼持てるものはますます大きくなる、という現実を、われわれ庶民は直視すべきだ。