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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2111号/03.03.17
 『戦場のピアニスト』をみた。映画の余韻に浸るためか、最後のクレジットが終わるまで立ち上がる人はいなかった
▼第2次世界大戦時のポーランドで実際にあった話、ユダヤ人のピアニスト、ウワディスワフ・シエビルマンがワルシャワのゲットーで生きのびる、というものだ
▼映画は色調も押さえ、ワルシャワのゲットーの状態などを淡たんと描く。ワルシャワの人びとにも、ナチが支配してからユダヤ人を差別する者、一貫してユダヤ人に手をさしのべる者がいる。ユダヤ人にしても同様だ。いい者もいれば、積極的にナチに協力する「ユダヤ同盟」も描かれている
▼彼の音楽的才能を評価したナチ将校によって、最後は助けられるというのが映画の見所だ。彼がこの体験談を本にした当初は衝撃が強すぎると、この事実が別の人間に置き換えられたほどだ
▼淡たんと描くのはいいのだが、ゲットーでの蜂起やワルシャワ蜂起が年月日だけで説明されると、詳しい歴史を知らない者にはわかりにくかった
▼ポーランドでユダヤ人を大量虐殺したのはナチだ。しかし、ワルシャワ蜂起の前年にポーランド人将校、弁護士、裁判官、医師、大学教授など四千三百二十一人をロシアのカティンの森で虐殺し、蜂起のさいは進撃を停止し、援助を控え見殺し状態にしたのが当時のソ連のスターリンだったという事実も、客観的にユダヤ人虐殺に手を貸した者として、忘れてはならない。

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