今年の選抜高校野球の注目は、東洋大付属姫路高校のアン投手に集まった。彼は在日ベトナム2世。父、母、兄は１世でボートピープルとしてベトナムからきた
▼両親、兄はベトナム人である誇りをもち、彼のプロ入りをめざし、全面的にバックアップしている。父はまた、誇りをもって、皮革工場の鞣しの現場で働いている
▼野球部の主将もし、選抜で大活躍した彼は、在日ベトナム２世の希望の星でもある。しかし、さまざまな面でいまだに差別が厳しいことも現実だ
▼内閣府の世論調査によると、日本に住む外国人について、日本人と同じように人権を守るべきと考える人は54％で、前回から11.1％も減少。日本人と同じような権利をもっていなくてもしかたないが21.8％で前回より3.3％増えた
▼調査結果について法務省人権擁護局は「身近に外国人が増えたことや、外国人犯罪の報道が多いことが原因」とし、こうした意識を改めるため、啓発活動にカを入れていく、という
▼外国人による犯罪率は日本人より少ないのが現実なのに、ことさら扇るメディア。DNAまでもちだして外国人は犯罪者などと扇る東京都知事。こうしたことの改善の方がまず第一ではないのか
▼刑務所や入管管理施設での差別、人権侵害は数多い。刑務所では多くの変死者がでている。こんな法務省管轄下の機関に、まともな啓発などできるわけないことは明明白白だ。