労働者、労働の問題を考えつづけてきた熊沢誠さんが、「労働者」消えた経済大国という論をA紙に書いた。これまで日本の労働者はまとまりのある階層だったがいまはそうではない、というのが彼の論だ
▼この5年で急速に変わった、という。つまり、終身雇用を前提に愛着のある職場に定着しようとしてきた40~50代層の多くはリストラにおびえ、まとまって「仲間の雇用を守れ」といえなくなっている。20~30代前半の若者で、新規大卒者の正社員雇用は5~6割にとどまる
▼正社員となった一定層は成果主義的働きを求められ、重いノルマを負う。このヤングエリート層は個人主義的競争が身についており「チャレンジ」しっづける一方、かなりの若者はフリーター中心の非正社員。単純労働と低賃金で非定着的。だから仲間とともに労働者としての生活と権利を守る、ということは生まれにくい
▼いまのそれぞれの層のしんどさのなかで、共有する仲間との連帯はなかなかみいだしにくい、新しい働き方をめざす層もでてこない、というのが結論だ
▼たしかにそうだ。げんに中高年の野宿者の30%が1年未満、41%がその前まで正社員や役員だという。反失業の闘い、新たな労働の編成のとりくみがいまほど重要なときはない
▼大阪の釜ケ崎の労働者としてこうしたとりくみを展開し広げてきた藤井利明さんが54歳でガンで亡くなった。彼のめざしたものを共有したい。
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