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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2139号/03.10.06
 エドワード・サイードが9月25日に、ニューヨークで亡くなった。白血病が死因で、67歳だった。サイードはイギリスがパレスチナを占領していたころにエルサレムで生まれ、10代でアメリカに移住した。コロンビア大学の教授として活躍してきた
▼アラブの大義を支持するサイードは、アメリカの中東政策を激しく批判しつづけた。4月に発表された「私たちの民主主義を返せ」という小論でも、9・11以降のアメリカの帝国的行為を批判し、「私たちこそが、自らの民主主義を回復しなければならないのだ」と強調した
▼サイードの主著『オリエンタリズム』は有名だ。「遠く離れた見知らぬ土地の現実を自分のまなざしに従属させ、その地の歴史を自分の側の観点から構成し、そこの住民を臣民とみなし、その運命は彼らが自ら決定するのではなく、遠隔地の行政官たちが、彼らにふさわしいと考えることで決定される」という、西洋からの東洋(オリエント)へのまなざし(支配者の意識)への批判を書いたのが、この本だ
▼多くの人がもつこの意識を変革するのは容易ではない。しかし、サイードはたたかいつづけた。『知識人とは何か』では、差別される立場の者が、解き放たれたとき、無意識に差別する側にたつことの問題点を指摘した
▼サイードのこうした視点は、反差別・人権確立をめざす私たちと共通するものだ。真摯な思想家の死を心から悼みたい。

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