これはまさに喜劇だ。劇「人類館」を見終わったあと、最初に感じたのがこれだ。初演から27年ぶりにリバティおおさかで上演され、大成功を収めた
▼「人類館」は、1903年に大阪であった第5回内国勧業博覧会のさい人類館で沖縄、アイヌ、台湾の先住民族などの生身の人間が「陳列」された事件
▼劇では、この事件の展示館を舞台に、沖縄の苦難の歴史が演じられる。しかし、それは苦難だけが演じられるのではない。そのなかに、同化と異化の間にゆれる沖縄の民衆の姿が焼き込まれている。そして、統合とのせめぎ合いも見せつける
▼最後の場面で、これまでの調教師(人類館で解説を加え、「展示」されている沖縄人に差別、抑圧を加える)がいなくなったとたん、沖縄の男性が調教師になる。鋭い問いかけだ
▼歴史は、演劇空間のなかで、時間と空間をこえて、瞬時に場面転換がおこなわれ、言葉の機関銃が始まる。台本、役者の力量がこのことを可能にする。演劇のもつ力を見せつけられた
▼劇「蒼き布団にくるまりて」は、狭山再審闘争に大きな役割を果たした。この劇団・行動座を主宰していたのが森本景武さんだ。森本さんは、「造花の判決」をはじめとした狭山の映画、ビデオのプロデューサーだった。昨年の全水結成80周年記念集会で上映されたビデオ「水平」もプロデュースした
▼11月27日、この森本さんが死去した。冥福を祈りたい。
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