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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2156号/04.02.09

帝国を壊すために
戦争と正義をめぐるエッセイ

アルンダティ・ロイ/本橋 哲也 著  岩波書店(定価740円)

書籍画像 私は農村で生まれ育った。冬から春の兆が見え始めるころ、土手の日溜まりに一番最初に咲く花がある。いまでもその土手はあり、毎年可憐な花を咲かせる。今年も咲くのだろうかと冬らしい寒さが訪れた寒中に思う。
 それは、アフガニスタンやイラク、パレスチナでもおなじだろうか。これらの地域には、どんな野の花が咲くのだろう。戦乱に彩られた報道はあるが、子どもたちの手に握られる花もきっとあると思っている。
 筆者のアルンダティ・ロイは、インドの女性作家。インドはかろうじて非同盟中立を堅持してきた歴史があるが、現在はアメリカに近いヒンズー至上主義内閣である。国内には、イスラムとヒンズーの宗教抗争が激化している。タミルナドゥでは、ヒンズー至上主義者によって「改宗禁止法」なるものがつくられた。
 単純な善悪や偏った立場にたたず、冷静に今、世界で起きている事態をみつめている。排外主義と戦争に突きすすむ世論形成がされる今の日本に、多くの示唆を与える。(安)

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