日本人の歴史意識
―「世間」という視覚から―
阿部 謹也 著 岩波新書(定価700円)
日本独自の生活の形である「世間」をとおして、日本人にとって歴史とは何か、日本での「世間」の歴史的経過をふまえて論じたのが本書。
「世間」のなかで生活する日本人にとって、歴史は災害などと同じく、突然外から日常生活に襲いかかってくるもの、つまり「世間」の外で起きているドラマとして位置づけられている。「世間」で生きている人は、「世間」の外の現象にあまり関心がない、という。
最近ではイラク問題がそのいい例だろう。いうまでもなく、イラク問題や「教育基本法」改悪、司法制度なビ国内外のさまざまな動きは、私たちの「世間」と深いかかわりがあるのに、自分には関係ないと思っている人は意外に多い。
著者は、「世間」を相対化しようと努力した親鸞や兼好法師などの「世間」の歴史から学ぶことの必要性。そして「世間」の存在を一人ひとりが対象化し、「世間」から自立して闘うことが重要だ、と主張する。
前作『「世間」とは何か』とあわせて読みたい。 (謙)
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