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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2167号/04.04.26

「戦間期」の思想家たち
レヴィ=ストロース・ブルトン・バタイユ

桜井 哲夫 著  平凡社新書(定価820円)

書籍画像 1919年から39年の20年間にわたる危機には、独自の特質がみられたと語るのは、歴史家のE・H・カーである。前半の10年で夢みられた期待が、後半10年のわびしい諦めへと変転し、思考の要素すべてを激しく排除するリアリティへと急下降していった、と。
 戦間期のこの時代は、ロシア共産党内部でトロツキーが追放され、スターリンが実権を握る過程だった。ドイツでは、夢に満ちたワイマール共和国が成立・崩壊し、ナチが実権を握っていく。この本は、危機の時代の20年をフランスを中心に、青年知識人のさまざまな思想遍歴、行動を映し出す。たとえば、シュールリアリストのブルトンがなぜフランス共産党に入党したのか。トロツキーの「レーニン」を読んだことがきっかけと公式にはいわれてきた。しかし、その秘密は、ブルトンの「ナジャ」にある、と桜井はとく。一人の女性も救えない観念の徒としての自己への批判として。
 青年群像が、男女関係も織り交ぜ、同時代史として見事に描かれている。    (A)

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