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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2182号/04.08.23

フリーターという生き方

小杉 礼子 著  勁草書房(定価2000円)

書籍画像 息子が大学生になり、アルバイトをはじめた。食卓でアルバイトの舞台裏を聞きながら、眉をひそめる。この社会がこれほど若者の労働力を乱用しているとは思わなかった。在庫が決してきれないウェットティッシュのように、使い捨てられるかれらは、市場原理を丸飲みにする日本経済から搾取されている。そのまま「社会とはこういうものだ」と大人になっていくのだろうか。
 大人として、語るべき言葉をもちたいと、読みあさった本の一冊が本著。若者の労働事情をデーターや聞き取りによって分析している。ヨーロッパとの比較も興味深い。欧州の「有期限雇用」は、実数として多いが職域が公務員など各領域にまたがり、キャリアにつながるという。部落解放・人権研究所が04年に発刊した「社会的不利な立場に置かれたフリーター」はこの問題を部落の若者にもっと引きつけて語っている。合わせて読むことをすすめたい。
 経済界が人間に分断を強いている。若者の乱用と自殺者の増加は無関係なものではない。(汝)

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