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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2185号/04.09.13

安心のファシズム
―支配されたがる人びと―

斎藤 貴男 著  岩波書店(定価700円)

書籍画像 イラク人質事件での3人の人質への「自己責任」というバッシングをみて書きあげたのが本書。
 斎藤貴男は、このバッシングが、部落解放同盟員への連続ハガキ差別事件や、2ちゃんねるでの差別書きこみと通底することを指摘している。
 管理や監視は、テクノロジーだけでは成りたたず、人びとの不安な日常の組織化と、そこから逃れるための「安心」の欲求が不可欠であり、自由からの逃走と支配されたがる心性が、「自発的」に生みだされることを、わかりやすく解き明かしていく。
 こうした社会を生みだしているのがグローバリゼーションであることを、昨年の第37回全研での武者小路公秀さんの講演「グローバル化と人権」をひきながら明らかにし、いま、新しい身分社会がつくられようとしていることへの認識をもつことの重要性を強調する。
 「監視カメラの心理学」の項では、監視カメラというテクノロジーが、それをいやがる人を「特殊な人」として排除していく哲学的命題であることも示した。  (E)

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