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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2187号/04.09.27

経済成長がなければ
私たちは豊かに
なれないのだろうか

C.ダグラス・ラミス 著  平凡社(定価900円)

書籍画像 「国家の暴力の歴史を冷静に見れば…中略…もう国家に武器を渡したくなくなる。世界経済システムが引き起こした災害の記録(飢餓、文化や自然の破壊、貧富の再生産)を冷静に見れば…中略…経済発展政策の放棄を求めるようになる。それは普通の人間が持つ常識による反応であって、それを説明するのに何も決定論のような神秘的な言葉はいらない」
 著者は、「経済は発展しなければならない」という経済発展論こそ人びとの目を本当の現実からそらせている張本人と指摘。憲法「改悪」、環境破壊、賃金奴隷的労働など「現実離れ現実主義」が横行する諸問題を明快に解き、「幻想」を破る。
 現在は、本書によれば、けっして変わらないかにみえる「常識」の大転換の前段階の時代―大多数の人が「非常識」と判断している物の考え方が主流の「常識」に代わる大変革の「ほんの少し前の段階」である。未来に向けて部落解放連動の果たす役割は何か。解放された人間とは何か。示唆に富む一冊だ。(K・S)

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