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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2194号/04.11.15

「心にひびく民のことば」

谷川 健一 著  岩波書店(定価2300円)

書籍画像 「小さき者」とは聖書のなかにある言葉。谷川健二は「私は民俗学が『小さき者』の世界を相手にする学問であることに共感し、聖書の『小さき者』のイメージの素地に常民や庶民という言葉を重ね合わせていた」という。この『小さき者』とは浮浪の徒や漁夫、娼婦のことであり、当時のユダヤ社会ではいやしめられる存在であった。
 そのような想いをもって訪れた沖縄の八重山は「日本の中で最も南に位置し、権力や権威から最も遠い先島には、貧しいけれども、屈託のない人びとが暮らしを営んでいた」という。1969年のことであった。
 沖縄はじめアイヌ、離島に生きた隠れ切支丹。山ぶかい土地に生きる人たち。そうした苛酷な自然のなかで、生きる人たちが彩なす精神世界に深い同情と愛情を寄せた先人の姿を記していく。
 本書の文章はすでに発表されているものだが、こうして新たに編まれ直すことで「谷川民俗学」が、確かなまなざしと人間的な暖かみに縁どられていることが見てとれるだろう。   (安)

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