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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2196号/04.11.29

免田栄獄中ノート
私の見送った死刑囚たち

免田 栄 著  インパクト出版会(定価1900円)

書籍画像 免田栄さんは、熊本県人吉市で起きた祈祷師一家4人殺傷事件ででっち上げ逮捕される。1949年のことだ。自白調書が作られ、第1回公判では検察官の起訴状を認める。第3回公判で全面否認に転じた。しかし、50年に死刑判決。死刑台から生還したのは83年。じつに34年間の苛酷な獄中生活と再審請求の闘いを強いられた。
 事件発生前から、逮捕、獄中闘争、再審無罪にいたるまでを書いたのがこの本だ。その中心は、死刑囚として処刑の危機と苦悩に直面しながら、刑場へ見送った多くの死刑囚の話だ。「俺は先に逝くけれどもがんばれよ」と握手しながら刑場に消えた何十人という死刑囚。あるものは確実なえん罪でありながらあきらめと訴えるすべを知らず、しかも司法の救済―再審がないまま消えた。また、あるものは主犯に過大な罪を背負い込まされたり、警察の取り調べで罪名を重くされた。そして、社会的マイノリティが罪を背負わされる。
 死刑だけはなくしたいという免田さんの思いが伝わる一冊だ。 (A)

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