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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2158号/04.02.23
 イムジン河という歌がある。朝鮮半島の分断という現実のなかで、南北のいずこにも自由に行きかうことのできる水鳥にあこがれながら、いまだに土を踏めないふる里への想いを語ったものだ。レコード化できない時期がつづいたが、ようやく最近になってCD化された
▼元祖グローバリゼーションは渡鳥だ、と書くと笑われそうだが、現実はそうだ。赤城山で国定忠次が「南の空へ雁が飛んでいかー」と山を下り、子分たちと別れ別れになるときにいう有名なセリフがある。この雁(がん)も渡鳥だ。日本では冬鳥の代表とされる
▼この渡鳥が、いまや悪の代表のようにいわれている。鳥インフルエンザをもってくるからだ。アジア各地では被害が拡大している
▼日本の鶏舎をみてみよう。窓なしで垂直な8段のケージ飼い、餌も集卵もベルトコンペアーで自動。フンの処理まで自動。1人あたり4万羽を飼育しなくては採算がとれない。まさに卵を生産する工場だ
▼乳牛の場合はかつて年間4000リットルの乳を出していたが餌の改良で8000リットルに上がっている。しかし乳牛が乳を出す期間は半分以下になっている
▼いずれも人間の都合で、生命そのものが生産手段化されている。家畜とは、まさに人間とともにあり、歩むものであったはず。強度な過密化は鳥インフルエンザを一挙に広める
▼総監視社会のなか、人間も鶏や乳牛と同じようにあつかわれていないか。

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