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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2183号/04.08.30
 山頭火が文学立身の夢断ちがたく熊本市から単身上京したのが1919年。しかし東京での夢かなわず熊本に帰るきっかけになったのが1923年の関東大震災だった
▼41歳だった山頭火は逃げる最中に社会主義者と疑われて憲兵の手で捕えられ、巣鴨の刑務所に入れられ、厳しいとりしらべのあと釈放されている
▼マンガで描かれた山頭火では、憲兵に捕まるシーンはなぜか完全にはぶかれている。じつはこのとき、東京は11月半ばまで戒厳令が敷かれアナーキストの大杉栄、伊藤野枝は虐殺され、多くの社会主義者が弾圧され獄に閉じこめられたりした
▼この戒厳令では、「朝鮮人が放火・暴動・略奪をはかる」などの流言蜚語で軍隊と警察を動員したのだ。そして東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬などで6000人をこえる朝鮮人が集団的に虐殺された。民間人による自警団によっても多くの朝鮮人が虐殺された。民衆の奥深い所にも差別意識がつくりあげられていた
▼昨年、日弁連は小泉首相に「国は責任を認めて被害者や遺族に謝罪し、虐殺の全ぼうと真相を調査して、原因を明らかにすべき」という勧告書を出している。しかし、いまだに日本政府による調査は開始されていないのが実情だ
▼しかも石原都知事は「不法入国した多くの“三国人”が大災害のさいに大事件を起こす可能性がある」などと平然と語っている
▼これが「共生社会」日本の現状だ。

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