最近のCMにはあまりおもしろいものがない。世界での評価は低迷しているという。今年のカンヌ国際広告祭でも、日本からは１本が銀賞を受けただけ
▼「カンヌで評価されたのはいわば謎をかけて最後になるほどと思わせる推理小説。日本のCMは押しつけ型で、単なる広告媒体になってしまっている」と指摘されている
▼もっとも企業側は短いCMの間に大量の情報を入れたがる。ユーモアや遊び心、推理風の展開などしんどいというのが現実だ。テレビで一番おもしろいのはCMなのに、結局クライアント側がそれを壊すことを平気でやっている形だ
▼米大統領選挙の政策討論では熱弁が振るわれている。ところが、９月末の第１回政策討論会の写真で、奇妙なものが発見された。それは、ブッシュ大統領の背中の部分。よくみると背中の上の部分がふくらんでいる。どうも無線機をつけて、耳に隠したイヤホーンで助言を受けていたのではないかともっぱらの評判だ
▼助言を得ないとまともな討論もできないなら、でないほうがまし
▼米大統領のまねをしたわけではないだろうが、自民党が結党50年、次期総裁選挙に向けた広告戦略でコンペを実施した。さまざまな問題での党のダメージを最小限に押さえる作戦がそこにある
▼しかし日本のCMと同じく、クライアント側が欲張りすぎるといいものはできっこない。いい政策展開をすることが一番の特効薬なのだが。