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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2207号/05.2.21

児童性愛者

ヤコブ・ビリング 著 中田 和子 訳  解放出版社(定価2000円)

書籍画像 読みすすめること、読み返すことをためらう本だった。子どもが性暴力の犠牲になる事件が多発するなかで、社会は児童性愛者(ペドファイル)を「変質者」と切って捨てている。警察権力や地域社会に前歴者を公開する「メーガン法」導入の議論も安易で、そこに被害者や加害者の姿はない。本書は、昨年まで実在していた「児童性愛愛好者協会」に潜入取材し、実像にせまった記録だ。
 会合で著者は、自分を「世間から偏見を受けている者」とみなし権利を主張する加害者たちの姿を目の当たりにする。そして、数人の被害者を取材することに成功した。著者の葛藤は、彼らを嫌悪しながらも同化しなければならないところから、被害者にふれて「傷をえぐり出すことの是非」へ変わっていく。彼自身が打ちのめされていく過程は、私たちが目を背けてきた現実の闇を、まざまざとみせつける。
 真実を知ることでしか解決への糸口はつかめない。鳴咽しながらでも、吐き気と闘いながらでも、読んで知るべき事実がここにある。 (亀)

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